男女が、あるいは男男でも女女でもいいが、性交している様子を傍から見るとどのような様子なのだろう。脚が四本、腕が四本、それはちょうど一匹のクモのような姿で、頭には前にも後ろにも眼がついている。古代ギリシアに生きた喜劇作家のアリストファネスは、はるか昔の人間はまんまるで、まさにこのクモのような姿をしていたと物語った。地を這うそれのように原初の人間もすばしっこく、また力も優れていたので、彼らは不敬虔にも神々に挑戦しようとした。そんな人間たちに裁きを下すべく、ゼウスはこのクモたちを、たとえばゆで卵を細い糸で切るように真っ二つに断ち、アポロンに命じて断面を縫合させて、今日のような人間に仕立て上げたという。さらに、もしそれでも人間が驕り高ぶるなら、さらに半分にして横向きの肖像画のような姿にしようと、ゼウスは脅しを利かせるのだ。
アリストファネスいわく、ゆえに、今日の人間はみな片割れである、一人だと不完全である。だから、過去の完全な姿に憧れて、互いに抱き合うのだ。プラトン『饗宴』においてアリストファネスは、その専門を発揮して、コミカルな愛論を展開した。すなわち、愛(エロス)はベターハーフへの欲求であると。
『饗宴』のエッセイもアリストファネスの演説まで来ました。あとは悲劇作家アガトンとソクラテスをまつのみです。乞うご期待。(2024/11/14, すでに投稿した記事の予約投稿はできないらしく、19時より前での更新です)
論文チックに書こうとすると、なかなかハードですね・・・現在、パゥサニヤス説まで執筆完了しています。(2024/11/7)
現在、ファイドロス説まで執筆完了しています。(2024/10/31)