思い返すだけで「うわーーーーっ」となってしまうような失敗があった。恥ずかしいこと、後ろめたいこと、迷惑をかけたことが、黒々と渦巻いている感じがしていた。
しかし、そんな黒いところさえ、自分が自分の意志で選択する態度によって学びになるのだと教えてくれる本がある。ポール・シーリィ著『「潜在能力」であらゆる問題が解決できる』だ。
「うわー、そんな胡散臭そうな本を読んでるの?」
と言われてもしょうがないかなと思っている。むしろ、そんな「胡散臭そうな本」に手を出したくなった私の切実さを感じ取ってもらえればいい。
これから書くことは、ポール・シーリィが研究開発したナチュラル・ブリリアンス・モデル(略:NBモデル)を実践するときの態度について説明された箇所の、自分なりの理解のまとめだ。とりあえず、自分宛てに書いたメモを公開する形になる。
ポール・シーリィは教えてくれる。
失敗なんてないんだよと。
ただフィードバックがあるだけなのだと。
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人生から学ぶ
変化に富んだ多くの経験とその観察から学ぼう。NBモデルは、コンフォートゾーンの外へ踏み出す人へ、Receptive, Generative, Persistent であることを要請する。
そもそもNBモデルは、リラックスしてコンフォートゾーンの外に踏み出すことを前提としている。NBモデルの原理は自らの選択によるチャレンジにある。最高の学習を実現するには、恐怖と退屈の間にある健全な緊張感が必要だ。テレビのチャンネルを替えるように脳のチャンネルを切り替えることで、身体的な活動、学習そして創造のそれぞれにもっとも適した状態を作り出す。
Receptiveになるには、(A)柔軟に考えること、(B)探求すること、そして(C)無意識にアクセスすること。
NoticeとRespondの間でGenerativeなアプローチを行うには、(D)複雑なものを歓迎すること、(E)しなやかで、(F)独創的で、(G)入念な思考をすること。
(H)勇気 と (I)想像力 があってこそ、成功も失敗もともに糧にしながら、ゴールを目指して粘り強く、Persistent に前進できる。
返し縫い
刻々と変化していく状況を観察しながら、粘り強く adjust していこう。
五感を使って状況を観察しよう。
- 行き詰った状態にあるときの自分の体と心を観察する。B
- 何かを理解しようとするときには、五感のすべてを使う。B
Respond ⇆ Witness を繰り返そう。朝起きたら「私が今日、本当に実現したいことは何だろう」と問いかけ、夜寝るときは「私は今日、目標達成のためにどんなことをしただろう」と問いかけよう。返し縫の説話。二針縫ったら一針を返す。ただそれだけで、縫い目は他のどんなステッチよりも強く柔軟になる。
チャレンジしよう
五感を研ぎ澄まして、今自分がおかれている状況を観察し、混沌と正直に向き合おう。混沌はコンフォートゾーンの外にあるものだ。そのことを承知したうえで、果敢に自分を試してみよう。
複雑性に向き合おう。
- 問題の微妙で複雑な部分に目を向ける。B
- 複雑な概念や問題の中に評価できる、あるいは、共感できる部分を見つけ出す。D
- 最も複雑な仕事から真っ先に取り組み、複雑さの原因を見つけ出す。D
- やっかいな状況の中に好奇心をそそられる側面を見つけ出す。D
- あえて複雑な問題を選ぶ。D
難しいことにチャレンジしよう。生成的な姿勢の最初の条件となるのは「チャレンジすること」への意欲だ。
- いちばん難しい解決策を選んだ場合、どんな問題が派生するかを考える。D
- あなたの問題の少なくとも一部分については、だれの助けも借りずに自力で解決策を探してみる。D
- 難しいことにチャレンジすることを楽しむ。D
- 簡単な方法を安易に受け入れるのではなく、あえて難しいやり方を求める。D
- 恐れずに高い目標を立てる。H
- 目の前の難しい仕事をやっつける。H
- これまでやったことのない難しいことを何か始める。H
傷つくことを恐れずにまっすぐ向き合う。勇気をもつとは、恐怖心に負けずに何かを実行することだ。勇気あるリスクテイカーは直感を働かせる。
- 間違いを認める。H
- 本心を話す。H
異なれ
混沌と向き合い、問題を解く前と解いた後では次元が違っている。逆に、違う次元に行かないと問題を解決できないということでもある。自己変革型の人間は、問題の解決とともに異なる次元に成長している。異なることは、コンフォートゾーンの外である。
既存とは異なるアプローチを取ろう。対応策を練る際には、運転中に迂回の表示に遭遇したときのように、アプローチの仕方や考え方の方向を変えてみるようにしよう。
- 問題にかかわる具体的な出来事や状況などについて、異なる解釈をしてみる。A
- 問題に、それとはまったく関係のない原理や概念を当てはめてみる。A
- 問題に対する一般的なアプローチの仕方に疑問を抱いてみる。B
- 決まったやり方があるものに対して、新しいアプローチの仕方を探してみる。F
- 伝統的なことを新しいやり方でやってみる。F
常識をひっくり返してみよう。
- 何かについて、本来の目的とはことなるさまざまな使い方を考えてみる。A
- 問題の有益な面、あるいは有害な面の役立て方を考えてみる。A
- ふだんの見方とは異なる角度から状況を眺めてみる。A
- ものごとを正反対に想定してみる。E
ユニークになろう。独創的な思考に長けた人は、斬新な解決策を考え出す。
- 現状について誰かと話し合い、あえて相手と違う意見をもつようにする。A
- 他人とは違った考え方、行動の仕方を心掛ける。F
- 他人と違う自分を楽しみ、皆と同じことをするのを避ける。F
- 他人の目を気にせず、自分のやり方を実行する。F
- 自分独自の解決法を考え出す。F
- このリストを放棄して、自分独自のリストをつくってみる。F
- たとえ間違っている可能性があっても他人の言葉に左右されずに、独自の考えを貫く。H
- 自分に対する他人の考えや批判を気にしない。H
- 絵の中に、作者の意図していなかった奇妙な形を見出す。I
多くを為せ
一つの異なるアイデアを創出するだけで満足しないで、多く為せ。
あらゆることを調べ尽そう。問題解決に長けた人は常に好奇心を持っています。
- あらゆることを調べ、あらゆる人に質問する。B
- 新しいアイデアを提供してくれる本、地図、人、ストラテジーを常に探し求める。B
- 詳細を調べる。B
なんでもアレンジしてみよう。生成的な思考をする人は入念だ。アイデアでもモノでも、必ず手を加え、工夫を凝らす。
- 足したり、引いたり、掛けたり、割ったりしてみる。E
- 自分の、あるいは、他人の描いた絵に、線や色、その他のディテールを加える。G
- 詳細を列挙することで、一つの回答、あるいは、解決策の中により深い意味を見出す。G
- 誰かの素晴らしいアイデアに修正を加えてさらに洗練させる。G
- 既存のアイデアや誰かの作品を自分なりに変えて遊んでみる。G
- 地味でありきたりなものに装飾を加えて、美しく個性的なものにリメイクする。G
- このリストに何十もの新しいアイデアを加える。G
たくさん生み出せ。問題解決に長けた人は、物事を柔軟に考えて、一つの問題に対し、さまざまなアイデア、疑問、解決策を生み出す。「しなやかな」思考ができる人は、たくさんのアイデア、解決策、疑問を思いつき、さまざまな形でRespondできる。もともとコンフォートゾーンの外なんだから、一回やったからといって、少しやったからといって、あきらめたりしない。試行回数の多さが大事。粘り強く。
- 問題についてたくさんの異なる解決策を出してみる。A
- 一つの疑問に対して、複数の答えを考えてみる。E
- 一つの問題に対して、複数の問いを考えてみる。E
- 絵を一枚描くように言われたら、何枚も描く。E
- ほかの人が一つのアイデアしか思いつかないような問題について、できるだけたくさんのアイデアをひねりだしてみる。E
- 自分を表現するときはたくさんの言葉を使う。E
- 常に周りの人より多くのものをつくりだすようにする。E
- きびきびと行動し、自分に割り当てられた以上のことをやる。E
遊び心をもとう
NBモデルの特徴、その特異性は、無意識の積極的な活用やイマジネーションにある。遊び心をもって、楽しもう。
思考実験しよう。反事実を思い為してみる。「想像力」の豊かな人は、未来を、単なる過去の延長として考えない。自由に想像して、問題を飛び越えていこう。想像力はNBモデルの核となるスキルだ。
- 絶対に行くことのできない場所を想定し、どんなところか説明する。I
- 誰かの過去について、自分と知り合う前の言動や行動を推察している。I
- 想像の中で自分の憧れの場所を訪ねる。I
- 見たことのないものをイメージしてみる。I
- 実際には起こらなかったことに思いをめぐらす。I
- 無生物に命を吹き込んでみる。I
無意識を信頼しよう。問題解決にたけた人は、自分の無意識が導き出す答えを信頼する。KJ法の斥候の話、あるいは、無論理の話。
- フォトリーディングとダイレクトラーニングを行う。C
- まだ起こっていないことを直感で予想する。I
ちょっとした冒険をしてみよう。上記の「無意識の活用」も一つの冒険だと言える。また「なんでもアレンジしてみる」ことにも通ずるだろう。遊びだと思って、気軽に、楽しんでやればいい。
- なじみのないものに挑戦してみる。B
- 部屋の中のものを中心からずらして置いたり、絵を置いたり、デザインするときに非対称な構図を試みる。F
- 左手で長調を、右手で短調を、同時に弾いている。F
- 組み合わせがおもしろいと思ったらピクルスとピーナッツバターをいっしょに食べてみる。F
- 自分自身のことをもっとよく知るためにあえて冒険してみる。H
出典:
①ポール・シーリィ 著、今泉敦子 訳『「潜在能力」であらゆる問題が解決できる』(フォレスト出版株式会社)©2003
②Paul R. Scheele “Natural Brilliance” (Learning Strategies Corporation) ©2000
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