療育と創造性

何か仕事をする上では、その分野の心得を知っておいた方がいい。知っておくと観察する目が育つからだ。

私は今、放課後デイサービスで児童指導員として働いている。その職業として知っておいた方がいいことは、育ちにつまずきがある子たちに関する知識である。

今回は、発達支援の分野で研究を重ねた、宇佐川浩の〈感覚と運動の高次化理論〉について考察をまとめる。参考にしたのは宇佐川先生と共同で研究されたこともある池畑美恵子の書籍である。

以下その内容をまとめてみた。

専門性

療育支援の最も重要な専門性は以下の2点である。

  • 子どもを深く理解すること
  • 実践を整理し、工夫すること

(W型をD地点で分けた時の前半と後半だ)

子ども理解のためにどのような視点を持つべきか。

意味性

発達の意味性とは、子どもの示す行動の発達的意味や背景を考える視点である(目に映るすべてのことはメッセージ)。つまずきの発達的な意味を積極的、肯定的にとらえ、その解釈を通して子ども理解を深めてこそ子どもは育つ(創造性は加点主義で)。

問題行動も、それがむしろ発達の必然性であることを再確認することや、その背景にある発達のアンバランスを理解することが、問題行動理解の基本である。

宇佐川は発達の意味性を探る方法として

  • 発達的文脈
  • 空間的文脈
  • 時系列の文脈

の三つの視点を提起した。

構造性

感覚と運動の繋がり

宇佐川は早い段階から、感覚と運動の初期発達を中心に子どもの姿をとらえることを重視してきた(サイバネティクスとNM法、人脳コンピュータ理論)。感覚と運動の繋がりを障害児の発達理解の中心に据えている視点が理論の独自性の一つだ。ー 自己の身体と姿勢が外界の事物や他社との関わりの接点である(インターフェース)。

感覚と運動の使われ方、繋がり方、およびその質的変容としての高次化が子どもの発達を読み解く視点である。

子どもたちはどのような原則をもって外界に立ち向かおうとしているのか?その原則、すなわち、構造を考えよう。子どもが外界を認識し、外界に向かう過程には一定の構造があり、その構造の変化を節目に子どもの姿は質的に大きく変容する。

螺旋と質的転換点

宇佐川は発達を螺旋的・構造的上昇過程ととらえた(オイラーの法則、累積KJ法)。支援は、その子の今できていることがほかの力と有機的な関連をもてるように広げるとよい。発達をヨコに広げていく中で「適度な内的葛藤や矛盾」が生じた結果、タテの糸の発達がもたらされる(ヨコを広げる発想はドラゴン桜のリフティングでも同じ例があった)。

発達の構造性を理解する上では、おおよその質的転換点をおさえる必要がある。感覚と運動の高次化理論では質的転換点として4層8水準の発達段階を設けている。

全体性

ある行動系の獲得・発達とほかの行動系の発達との相互関連に着目することで、人としての実像に迫りうる。発達の全体性を読み取る上で重要なのは、子どもの立体的理解、”総じてこの子の発達課題は何か”を読み取ることである(KJ法の統合、本然じゃないか)。

子どもの発達は、対人的な関わりと対物的な関わりが絡み合う。

  • 知恵
  • 自己像
  • 情緒
  • 身体

の相互関連性の中で子どもは育つ。子どもの調和のとれた育ちには、これら4つの発達軸の理解が必要だ。

知恵について

障害児の発達過程で最も中核的なつまずきは、認知発達のつまずきである。認知とは、人間が外界にある対象を知覚し、それが何であるかを判断し、解釈する過程である。ー 知恵は、広く外界を理解し、自己世界を広げているための感覚的、運動的、知的活動である(外界へリーチする活動)。知恵の発達抜きに実態を把握するのは困難である(粘土工作を作ってみてはどうだろうか)。

自己像について

他者と深く関わり、外の世界を理解する中で、最終的に作り上げているものは自分というもの、つまり、自己像である(セルフイメージ)。自己像とは自己の把握と意味づけを指す。自己像は基本的に、子どもが外界と他者との何らかの相互作用を重ねていく中で形成されうるものである。

参考文献:池畑美恵子『感覚と運動の高次化理論からみた発達支援の展開』(©︎2020、学苑社)

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